ライブ配信で研修をする目的とは?メリットや注意点を解説
ライブ配信で研修をする目的とは?メリットや注意点を解説
新型コロナウイルスの影響でリモートワークや在宅勤務が加速する中、オンライン研修を取り入れようと検討中の企業も増えています。しかし中には、オンライン研修の実施方法が分からないためなかなか実現に至らず、やきもきしている方もいるでしょう。今回はオンライン研修の種類や利用シーン、実施時の注意点などを紹介します。オンライン研修を実施するために必要な知識が得られるので、ぜひご覧ください。
オンライン研修の種類について
オンライン研修の種類は大きくライブ配信とオンデマンド配信に分かれます。それぞれメリットとデメリットがあるため、企画の内容に応じて適した方法を使い分けることが重要です。
ここではライブ配信とオンデマンド配信の特徴や適したシーンについて解説します。
ライブ配信
ライブ配信は事前に動画の公開日時を参加者に共有し、セミナー動画を公開することでリアルタイムの研修を行う方法です。ライブ配信では動画の撮影と公開が同時に行われるため、緊張感や臨場感を得られます。
Web会議ツールのチャット機能を使えば、動画の公開中に受講者とコミュニケーションを取ることが可能です。研修に対する受講者の反応を伺い知れるのは、ライブ配信特有のメリットです。受講者から肯定的な意見が得られなければ、研修の内容を変更したり組み替えたりといった対応もできます。
ライブ配信は臨機応変な対応が可能なため、トークセッションのような事前に詳細な内容が決められていない場面での活用が適しているでしょう。
ただし運営側と参加者がコミュニケーションを取るためには、チャットツールの導入や配信機材の確保といった事前準備の手間やコストが発生します。またインターネットの回線や機材にトラブルが発生したときは、研修が中断してしまう危険も。
ライブ配信は受講者の満足度が高い研修が実施できる反面、本番で想定外の事柄が生じるリスクがあるため、運営側の手腕が問われる手法だといえるでしょう。
オンデマンド配信
オンデマンド配信は、事前に収録したセミナー動画を公開することで行われる研修です。オンデマンド配信は制約が少なく手軽に実施できることから、取り入れる企業が増えています。
オンデマンド配信の大きなメリットは、動画を編集してより参加者へ伝わる内容にグレードアップできる点です。例えば尺を調整したりテロップで補足説明を付け加えたり、レイアウトを派手にしたりすることが可能です。
また一度動画を準備してしまえば、繰り返し利用できる使い勝手の良さも魅力だといえます。ビジネスマナー研修のように毎年内容が変わらない場面で活用すると、特に利便性が高いでしょう。コンテンツを一部再編集すれば、専門的な内容の研修や営業ツールとしてなど、さらに利用シーンが広がります。
オンデマンド配信は時間や場所にとらわれず、受講者が研修を受けたいときに受講できる点も魅力です。希望すれば同じ動画を何度も視聴できるので、高い学習効果を見込めます。
オンデマンド配信のデメリットはクオリティの高い動画を作るための労力が必要なことです。受講者の理解を促進するための、効果音をつけ加えたり図解を挿入したりといった作業は、動画編集のノウハウがなければ難しいでしょう。
企業におけるオンライン研修の利用シーン
企業活動でライブ配信やオンデマンド配信を活用するシーンは、大きく外部向けのWebセミナーと教育研修の2つに分けられます。各利用シーンの詳細については次のとおりです。
外部に向けたWebセミナー
認知度向上やマーケティングの一環として外部向けのWebセミナーを実施したいときに、オンライン研修は適しています。なぜなら不特定多数の方に対して、より広範囲に動画を拡散できるためです。
例えば知名度が高く利用が無料のYouTubeに動画をアップすれば、多くの方に視聴してもらいやすいでしょう。実際に宣伝のために、動画をYouTubeに公開する企業は少なくありません。
YouTubeでは動画の再生回数も分かるので、どれだけの人が興味を持ったか把握しやすいこともメリットです。ただしオープンな場所の配信では誰が動画を閲覧したか確かめるのは難しくなってしまうため、注意が必要です。
内部に向けた教育研修
オンライン研修は内部に向けたさまざまな教育研修にも活用できます。新人研修や営業研修、技術研修、ダイバーシティ研修、コンプライアンス研修など導入可能なシーンを全て列挙するのが難しいほどです。
詳しくは後述しますが、オンライン研修を社員教育に利用するメリットは数多く存在します。コロナ禍もあってオンライン研修を導入する企業は増えています。
研修をライブ配信で行うメリット
研修をライブ配信で実施すると、運営側と参加者の双方の手間が軽減されます。その理由を一言で言えば、参加者の場所を問わず開催するため、運営コストを節約できるからです。
また受講者の理解を促進し、研修のクオリティを一定に保つ効果もあります。こちらでは、研修をライブ配信で行うメリットを4つ紹介します。
遠隔地でも受講できる
ライブ配信では受講者が遠隔地にいても、研修を受けられます。受講者はパソコンやスマートフォンなどの端末、Web会議ツール、インターネット環境の3つを準備すれば、場所を問わずに研修に参加可能です。
家にいながら研修を受講できるため、参加へのハードルが下がります。対面式の集合研修では、大勢の受講者が1ヶ所に集まらなくてはなりません。自宅が開催場所の遠方にあれば、朝早く家を出たり、場合によっては会場の近くへ前泊したりする手間が生じます。
自宅で端末をインターネットに繋げてWeb会議ツールを起動させるだけで済むライブ配信は、参加者にとって非常に楽なスタイルです。
コストを削減できる
研修をライブ配信で行うことによって、交通費や宿泊費、講師の派遣費用、会場の使用料を節約できます。
数百人規模で実施する大型研修の場合、参加者へ支給する交通費だけでも多額のコストが発生します。参加者が会場までたどり着くためのコストが一切発生しないことは、オンライン研修の特色です。
またライブ配信の講師役に社内の人間を抜擢すれば、外部講師に支払う報酬も削減できます。大勢が参加する研修の場合、社内施設では人員を収容するのが難しいため、ホールや大会議室をレンタルして準備することもあります。箱物が必要ではないライブ配信ならば、会場使用料をカットすることが可能です。
このように、オンライン研修では対面式研修で必須のコストを複数削減できます。一方でインターネットの通信料やWeb会議ツールの利用料といった、ライブ配信特有の費用が発生します。オンライン研修でも一定のコストは生じるので、注意しましょう。
情報がスムーズに伝えられる
ライブ配信は情報共有がスムーズになりやすく、受講者が内容を理解しやすいこともメリットです。発話によってダイレクトで情報を伝達するので、受講者は講師の意図通りに解釈できる可能性が高くなります。
研修資料を配布する場合、書かれた文章を読んで自分なりに理解する必要があるため、資料作成者の思惑通りに情報が伝わるとは限りません。そもそも研修資料がきちんと読まれないケースもあるでしょう。
また肉声で伝える際は表情や声のトーン、身振り手振りなども交えられます。細かいニュアンスや言外の意味も含め、言いたいことがより正確に伝えられるのです。
さらにチャット機能を活用すれば、講義内容で分からない部分はその場で質問して、疑問を解消できます。ライブ配信は受講者の理解を促進する研修方法だといえるでしょう。
繰り返し利用できる
撮影した研修動画を保存しておけば、何度も繰り返し利用可能です。どこで閲覧しても動画のクオリティが変わらないため、支店や部署問わず、均一の内容の研修を提供できます。特に新人研修や中途採用のオリエンテーションなど毎年内容が決まっている研修の際に力を発揮します。
講師の力量に左右されず、全ての社員に対して同等のクオリティの研修を実施できるので、人事の業務負担も軽減するでしょう。研修の効果が薄いと思われる社員に対し、再度受講を促し、理解度を高めることも可能です。
最初にコンテンツを作成すれば、あとはタイミングが来たら公開するだけなので、研修コストの削減にもつながります。情報の再現性という面で、オンライン研修は優れた研修スタイルです。
ライブ配信研修の注意点
ライブ配信は臨機応変でユニークな研修が実施できる反面、本番で想定外のトラブルが発生しやすい方法です。特に公開する情報のセキュリティや配信・閲覧環境は注意が必要な部分です。
ここではライブ配信を成功させるために押さえておくべき3つのポイントを紹介します。
機密性の高いコンテンツには制限をかける
ライブ配信では社外に漏らすべきではない情報も公開してしまうリスクがあるため、扱う内容によっては閲覧制限を設定した方が良いでしょう。セキュリティ向上の方法には、アクセス可能なIPアドレスを限定したり、限られた時間・回数しか閲覧できないワンタイムURLを発行したりすることが考えられます。
閲覧制限の設定には費用が発生する場合もあるため、まずはコンテンツの内容をよく確認し、セキュリティ対策が必要となるか確認しましょう。
ライブ配信の環境を整える
リアルタイムで動画を公開するライブ配信では、配信に支障を与えない環境を整備する必要があります。Wi-Fiでは動画や音声が途中で途切れてしまう可能性もあるため、安定した通信環境を確保できる有線でつなげましょう。
またカメラやマイクが、受講者がストレスなく情報を受容できるといえるパフォーマンスを発揮するか確認してください。一度はシミュレーションを行い、受講者からの見え方や聞こえ方をチェックしましょう。
外部の騒音や話し声が入ってしまったり、不意に撮影場所へ誰かが侵入したりする可能性があるため、撮影スペースの選定にも配慮が必要です。また講師の姿が明快に映るように配慮し、撮影用の証明としてリングライトやLED証明の導入もおすすめします。
パソコンやカメラなどの接続機器同士の互換性や通信制限の有無も事前に確認が必要な項目です。リアルタイムで配信するライブ配信ではトラブルが起きるリスクが高いので、配信環境の整備には細心の注意を払いましょう。
受講者のインターネット環境を確認する
主催者は、配信側のみならず閲覧側のインターネット環境に問題ないかチェックする必要もあります。社内回線を利用する場合、業務に関連する容量を圧迫し、本業に差し支える可能性も。回線の容量や受信速度、OSやブラウザなどの閲覧環境などを把握し、ライブ配信が通常業務に通信負荷を与えないか確認してください。
また受講者に対してWeb会議ツールを自身のパソコンにインストールするよう案内を出し、実際に作業を行ったか確認する必要もあります。Web会議ツールには多様な種類が存在し、搭載されている機能はツールによって異なります。画面共有や画像・音声のオンオフ、チャット機能が利用できるツールを選びましょう。
また講師と受講者による双方向のコミュニケーションが円滑になるよう、受講者にはイヤホンではなくヘッドホンの利用を推奨すると良いでしょう。
ライブで研修を行う手順
ライブ配信の大まかな流れは、事前準備→動画配信→質疑応答となります。事前準備ではツールや配信機材の動作確認の他、資料の事前配布も忘れないようにしましょう。本番では冒頭の数分間にスケジュールやツールの使用方法やルールなどの説明タイムを設けると、問題なく進行できるでしょう。
また、講師以外にもファシリテーターや機材トラブルに対応できるサポートデスクなどの人材を用意する必要もあります。質疑応答では講師が都度チャットを確認し回答するか、回答タイムを設定して後でまとめて答えるか、取扱いを決めておくと本番で戸惑うリスクを減らせます。
研修にライブ配信を取り入れてみよう
ライブ配信を取り入れれば、オンライン環境にもかかわらず双方向性のある研修を実施できます。事前の準備は簡単ではありませんが、学習効果の高さを考えれば、実施する意義はあるといえるでしょう。
ただし情報漏洩や機材トラブルの発生など、リスクが大きな部分もあります。機密性の高いコンテンツには閲覧制限をかけたり、事前に入念なリハーサルを行ったりする必要があります。
トラブルを避けるためには、事前の準備にどれだけ時間や手間をかけられるかがポイントです。本記事で紹介した注意点や対処法をよく確認し、円滑なライブ配信の実施に努めましょう。