ライブ配信の目的とは?人気の理由やメリットについて解説

ライブ配信の目的とは?人気の理由やメリットについて解説

ライブ配信はリアルタイムで撮影した動画をその場で公開する配信方法です。芸能人やインフルエンサーがファンと交流のために活用するツールというイメージを持つ方もいるでしょう。

ライブ配信は企業が自社の魅力や商品の特徴などを広く伝える際にも有効で、実際に広報やマーケティングにライブ配信を取り入れる会社が増えてきました。今回は企業がライブ配信を行う目的や市場の動向、ライブ配信のメリットやデメリット、ビジネスにおける活用シーンを紹介します。

本記事を読めば、ライブ配信が企業活動にどのような影響を及ぼすか分かるようになるでしょう。

ライブ配信を行う目的

企業がライブ配信を行う主たる目的は、企業PR・商材紹介・コスト削減の3つです。リアルタイムで動画を届けるライブ配信では社員の声をダイレクトに伝えられるため、企業や商材の良い宣伝ツールとなります。

また対面型のイベントと比較し、実施に要する費用を抑えやすいことも特長です。ここでは、企業がライブ配信を行う目的について詳細に解説します。

企業PR

広報活動でライブ配信を使用する企業は増えており、具体的には採用説明会や展示会で自社の魅力や特徴を伝える際に使われます。担当者の生の声を届けられるライブ配信なら、消費者や学生に対して自社の優れた部分を効果的に伝えられます。

開催頻度が少なく規模が大きい企業PRの催し物は、専門会社に外注をかけて開催する方法が主流です。一方で開催頻度が少なく規模も小さいイベントの場合、主催側が自社スタッフを動員して実施する傾向があります。

ライブ配信は手間やコストがかかるため、イベントの規模感や頻度によっては、自社のみでセッティングするのが難しいケースもあります。収録した動画を指定の時刻に公開する疑似ライブ配信ならば、本番時の機材やオペレーション、スタッフの人員を削減可能です。

開催コストが気になるなら、疑似ライブ配信を検討するのも良いでしょう。

商材紹介

自社プラットフォームや大手ECサイト上で、ライブ配信による商材紹介を行う企業も少なくありません。例えば、アパレル系企業がECサイトでライブ配信を活用するケースが増えています。

洋服は平面画像では素材感や着たときの感触を伝えにくいので、立体的で奥行きのある情報を伝えられるライブ配信が適しています。配信中に視聴者から質問を投げかけられたときは、角度を変えて薄さを示したり他の素材と比較したりするなど、より詳細な情報を伝えることが可能です。

国内大手ECサイトの中にはライブコマース機能がついているサービスもあり、多種多様な商材の紹介にライブ配信を活用できます。

コスト削減

オフラインでセミナーを開催する場合、会場の使用料やイベント担当者の交通費、宿泊代などが発生します。場所にとらわれないライブ配信を活用したイベントなら、上記のコストを丸ごと削減可能です。

ただし自分たちでライブ配信を行う場合、インターネット環境と、配信・音声・撮影機材を準備する必要があります。スマートフォンでも撮影や録音は可能ですが、複数のマイクやカメラの利用が難しい側面があります。さまざまな方向から多面的な動画を撮影したいなら、スマートフォンだけでなくパソコンも準備した方が良いでしょう。

またライブ配信とはいえ、イベントの規模が大きくなるとコストも高くなってしまいます。ライブ配信なら低いコストで抑えられると安心せず、開催に必要な金額をシビアにチェックしましょう。

ライブ配信が人気の理由

ライブ配信風景

ライブ配信が人気を博している大きな理由は、紙面や画像では分かりにくい事柄も詳しく伝えられるためです。奥行きがある情報を届けられるため、企業や商品の魅力をより効果的に広められます。

誰でも手軽に実施できる気軽さも人気の理由だといえます。現在では多くの家庭にインターネット環境があるので、機材を準備するだけで、個人でも簡単にライブ配信を実施可能です。

またインフルエンサーやYouTuber(ユーチューバー)によるライブ配信の活用も活発です。企業は事業と関わりが深い領域のインフルエンサーに依頼し、自社製品の魅力を代わりにPRしてもらうこともできます。さらに近年はオンライン授業や大学の講義など、教育シーンでも普及が進んでいます。

ライブ配信のその他の魅力に挙げられるのは、配信側と閲覧者による双方向のコミュニケーションが可能になる点です。視聴者からの声を聞いた配信者は、想定していた内容を変更したり組み替えたりすることで、ユーザーのニーズに沿ったコンテンツを提供できます。

視聴者の意見を即座に反映させられるライブ配信は、ユーザー満足度を向上させやすいツールだといえるでしょう。

ライブ配信市場の現状と将来性

ライブ配信市場は拡大を続けており、国内での認知度も向上中です。ライブ配信の視聴状況をチェックすると、配信と視聴の両方を行っているユーザーが一定数存在することが分かります。

ユーザーの年齢層は10代・20代の若年層から30代・40代にいたるまで、幅広く分布しています。動画のジャンルとしては若年層から強く支持されているゲーム実況や、全年齢層がバランスよく視聴する音楽などの視聴者数が多いです。

年代別の行動では、若い年代の方が動画配信者に対して活発にコメントを行っています。特に10代は課金して動画配信者にアイテムを提供する人も少なくありません。30~40代が閲覧者の中心を占める音楽では、投稿者へのコメントを楽しむというより、シンプルに動画を楽しむ傾向が見受けられます。

ライブ配信市場は今後も拡大を続けると見られており、将来性に富む分野です。特に発展著しいのは中国で、現在もめざましいスピードで市場が急成長を遂げています。

中国のライブ配信における特徴は、ライブコマースの活用が進んでいることです。ライブコマースとは、いわゆるインフルエンサーによる商品宣伝を指します。日本でもYouTubeを活用した商品紹介は行われていますが、中国のライブコマースはより規模が大きなサービスです。

ライブ配信のメリット

ライブ配信のメリットには、情報の即時性や正確性、拡散力、参加の容易さ、動画作成の手軽さなどが挙げられます。発信者と参加者の双方にとって、メリットが大きい発信スタイルだといえるでしょう。ここではライブ配信のメリットの具体的な内容を記します。

最新の情報が正確に伝達できる

ライブ配信は正確な情報を鮮度が高いうちに伝えられるため、新サービスや新商品の記者発表に適しています。生放送があるテレビでは、特定の企業が主催する記者発表会の生中継は基本的に流れません。

しかし企業やブランドのファンは、新製品やサービスの発表を心待ちにしています。ライブ配信を活用すれば、視聴者が抱える「いち早く情報を得たい」「発表会を一秒残らず見たい」などのニーズを満たすことが可能です。

またライブ配信では説明で気になった部分を即座に質問できるので、視聴者は商材の詳しい情報を得られます。インターネットからであれば、コメントを投稿する心理的なハードルも下がるため、物おじせず質問できるでしょう。

一度の配信で大人数に情報が伝えられる

ライブ配信は拡散性に優れており、一度の配信で数千人・数万人に対し、情報を伝達できます。集合型のイベントでは会場の範囲によって情報を伝える範囲が制限されます。一度の開催による情報拡散力はライブ配信に遠く及ばないでしょう。

しかも大勢の視聴者1人ひとりが配信者とリアルタイムでつながっているため、全員が臨場感を得られます。配信者と大勢の視聴者が一体となり、その名のとおり、ライブ会場にいるような感覚を得られます。

遠隔地でも参加ができる

視聴者はインターネット環境さえあれば、場所を問わずライブ配信へ参加できます。参加者は会場への交通費や宿泊代を支払う必要はありません。参加へのハードルが低くなるので、大勢からの参加希望を見込めるでしょう。

遠隔地から参加可能というメリットを享受できる具体的なシーンには、株主が参加できない状況での株主総会の開催が挙げられます。

昨今は新型コロナウイルスの感染拡大を避けるために、多くの都道府県で不要不急の外出の自粛が続いています。重要な会議で重役がどうしても出席できない状況を回避する際に、ライブ配信は有効な手段です。

編集作業が必要ない

事前に動画を撮影しコンテンツを作る場合、編集作業が必要ですが、撮影と公開が同時になされるライブ配信では編集作業は不要です。一口に動画編集といっても、効果音やテロップをつけたり、補足説明のナレーションを追加したり、図解を入れたりと作業範囲は膨大です。

動画編集には技術や経験が必要なので、初心者が少し勉強しただけで会得できるものではありません。専門的なスキルを持つ人員や作業に要する時間を確保しなくてはなりません。

ライブ配信は本番の勢いに任せる部分も大きいので、詳細な企画を練る手間も省けます。大まかなプロットを台本で示す必要はありますが、製品の説明や質疑応答だけでも番組が成立します。

視聴者とともにコンテンツを作る意識をもって、ときにはアドリブも織り交ぜながら臨機応変に対応しましょう。

ライブ配信のデメリット

ライブ配信は公開と閲覧を同時に行うという性質上、デメリットが存在します。例えばトラブルによって配信が中断したり、不適切な発言を流してしまったりする可能性があります。

ライブ配信を成功させるためにデメリットを事前に把握しておくべきなので、こちらでチェックしてみてください。

機材トラブルの可能性がある

ライブ配信では通信環境が悪化したり、機器が故障したりするトラブルに見舞われると、中断や中止を迫られます。中止はもとより中断でも閲覧者の離脱を促進するので、企業は大きな損失を被ります。ライブ配信で機器トラブルが起きたら、万事休すだといえるでしょう。

ライブ配信の失敗をなくすには、入念な事前準備が不可欠です。まず通信環境はWi-Fiではなく、安定した通信を確保しやすい有線LANを使用しましょう。またマイクやカメラなどの音響機器は動作確認のみならず、参加者の目や耳に届くか確認する必要もあります。

さらにパソコンとカメラを接続する際は互換が可能か、接続制限がかかっていないかという点もチェックしなくてはなりません。事前にリハーサルを実施すれば、本番時に想定外の事案が発生する可能性を減らせます。

不適切な発言も配信されてしまう

コンテンツの内容を事前に編集できないライブ配信では、企業のブランドイメージを損ねるような不適切な発言も公開される危険もあります。不適切な発言の代表例としては、反社会的組織との関わりや暴力行為を想起させる内容です。

また性差別やわいせつ行為につながる発言にも注意しなければなりません。発言者が意図していなくても、使用する言葉次第で悪意があると捉えられる場合もあります。

ライブ配信を行う際は、放送倫理や常識を意識したコンテンツを提供するよう、配信担当者に対して適切な研修や指導を行いましょう。

ライブ配信のビジネス利用シーン

ライブ配信風景

ビジネスにおけるライブ配信の主な利用シーンは、IRイベント・ウェビナー・展示会や販促イベント・社内向けイベントの4つです。

ここでは、ライブ配信が各ビジネスシーンにもたらす効果を中心に解説します。

IRイベント

ライブ配信は、個人投資家説明会や株主総会、決算説明会など企業が投資家に対して行う説明機会への導入が適しています。オンライン上とはいえ、ライブ配信ならば利害関係者への十分な説明が可能です。

説明資料も同時にWeb上にアップロードできるので、投資家たちが内容の理解が得られないリスクを避けられます。実際にIRイベントにライブ配信を導入した事例も多く存在します。

ウェビナー

Webとセミナーを掛け合わせたウェビナーは、オンライン上で配信するセミナーです。企業はリード顧客の獲得や既存顧客のクロスセルなどを目的にウェビナーを開催します。

ウェビナーにはリアルタイムで情報を伝達するライブ配信のほか、事前に録画した動画を公開する録画配信があります。

オンラインでウェビナーを開催すると一方的な発信になりやすい点がデメリットです。ライブ配信を導入すれば、気軽な質問が可能なので、双方向のコミュニケーションが生まれやすいでしょう。

チャット機能の他、参加者からの音声発信、アンケートなども使用すれば、オフラインのセミナーと同等のクオリティを期待できます。

展示会・販促イベント

ライブ配信は新商品の展示会や販促イベントの際にも有効です。発話によって商品の魅力をダイレクトに伝えられるので、より参加者に刺さる宣伝が可能です。

商品開発の担当者に開発当時の体験談や苦労したことを話してもらえば、消費者は親しみや愛着が湧き、商品購入につながるかもしれません。

またライブ配信では商品の良い部分だけでなく悪い部分も伝わるため、押しつけがましさを緩和できます。企業サイトやYouTubeで公開される商品の説明動画をみて、メリットばかり伝えている構成にいぶかしさを感じた方もいるでしょう。

ライブ配信では文字通りリアルな特徴が分かるので、安っぽさや重さなどのウィークポイントも伝わります。ただしマイナス部分も伝わる恐れがあるので、魅力がなく見えないよう注意しなければなりません。

社内向けイベント

ライブ配信はワークショップやレクリエーションを実施するツールとしてもおすすめです。なぜなら社内向けイベントは参加者の主体性が重要になるので、臨場感を得られるライブ配信が適しているためです。画面を通してでも一体感を得られるので、組織やチームの親睦を深める際にも効果を示します。

ライブ配信は視聴者との距離が近いことはもちろん、長時間の尺にも対応できる点も強みです。特にゲーム実況の場合、動画が数時間に及ぶ場合もあります。数時間にわたる社内イベントでもライブ配信なら問題なく実施できるでしょう。

長時間にわたるライブ配信を実施する際は、合間に休憩をはさむようにしてください。配信側はもちろん、長時間の動画閲覧は参加者にとっても負担になります。

動画の冒頭でタイムスケジュールを示せば、長い尺に対する視聴者の不安を解消でき、集中して閲覧してくれるでしょう。

ライブ配信をビジネスに役立てよう

ライブ配信は一度に数万人に対して情報を伝達できる拡散力の高さや、動画編集の必要なく手軽に導入可能な点が魅力です。他にも参加者から質問を受け付けてその場で回答したり、視聴者の反応によって内容を変えたりと臨機応変な対応が可能です。

場所にとらわれず、どこからでも参加できるため参加者にとってもメリットが大きい方法だといえます。ライブ配信は最新の情報を正確に伝えられるので、特に新たなサービスや商品の発表時に適しています。

機材トラブルや不適切な内容の発信には注意する必要がありますが、ライブ配信をビジネスに活用する価値は大きいです。しっかりと準備し、顧客や株主、従業員などに対する訴求を強めるツールとして有効活用してください。